【手元供養】皆はどうしてる?遺骨を室内で管理する具体的な方法
従来のお墓に埋葬せず、ご遺骨を自宅保管し供養される方が増えていますが、お骨の扱いについて不安や疑問を感じる人は少なくはありません。こちらでは「遺骨を室内で保管する具体的な方法」をお伝え致します。
①保管する遺骨の状態を確認
火葬直後のご遺骨はは800度~1200度の高温で熱せられるため、無菌状態となります。火葬後埋葬せず、ご遺骨を葬儀場からそのまま自宅へ持ち帰り保管する場合は問題ないのですが、一度埋葬したご遺骨は土やゴミ、雨水などで汚れているため「洗骨」する必要があります。
「洗骨」は粉骨業者で受けてくれるところもありますが、どうしてもご自身で行いたい場合は、以下の方法で行います。
- 骨壺から取り出したご遺骨を、綺麗な水を張ったバケツに移します。
- 綺麗な水を入れ替えながら、ご遺骨の汚れを取り除きます。
- 汚れの落ちたご遺骨を新聞紙やパットなどに広げ、数日自然乾燥します。
- ご遺骨が乾燥したら骨袋か自宅墓用の綺麗な骨壺や容器に移します。
〔ポイント〕出来るだけ綺麗に汚れを除去し、しっかり乾燥させる必要があります。汚れや水分が残っているとカビが発生する恐れがあります。
※散骨業者は乾燥機を使用した後、水分計を使い乾燥の度合いを確認ます。自宅で乾燥の具合が気になる場合はご遺骨と共に乾燥剤パックを入れるなど工夫が必要です。
②ご遺骨を収納する入れ物を決める
ご遺骨を自宅保管する為の入れ物に決まりはありません。全骨を手元に置くか、分骨して一部のみ自宅に置くかで入れ物の大きさを決めます。
市販されている物は色、形、大きさは様々です。ネットで購入する場合は思ったより小さかったという声もあるようなので、想像で購入するのではなく、記載されている大きさを確認して、ご遺骨が収納できる容量の物を買うようにします。
市販されている物ではなく、故人が大切にしていた骨董品や自作の骨壺でも問題はありません。
また、「日本製」の自宅墓やお骨壺を望まれる場合、国産か輸入かを確認する必要があります。販売されているお骨壺は輸入先の表記がされていない物が殆どで、知らず知らずに「輸入品」を購入している場合があります。「日本製」の物に拘る場合は、購入先に問合せをするか「日本製」と記載された商品を購入する必要があります。
③お骨壺や自宅墓にご遺骨を納めるタイミング
お墓へ埋葬するまでの間など、短い期間のみ自宅保管を選択される方は、火葬場から持ち帰ったお骨壺のまま、ご遺骨を保管されています。
「気持ちに区切りが付くまで」「自らが老いるまで」など、長期にわたり手元で保管されることを望まれる方は、自分で用意したデザイン性の高いのお骨壺を火葬前に用意し、拾骨の時に収めてもらうか、葬儀が落ち着いてから「自宅墓」や自宅供養専用のお骨壺を用意し、自宅にてご自身でご遺骨を移します。
※火葬場で使用するお骨壺は、斎場や葬儀社が取引のある骨壺メーカーのお骨壺を葬儀プランに組み込んで用意している場合が殆どです。自分で選んだお骨壺を火葬時に使用した場合は、事前に斎場か葬儀社へ相談して下さい。
ご遺骨を別の入れ物に移し替える場合の注意点
六角クロムについて
ご遺骨は火葬する過程で、際環境基準値の数倍から数十倍を超える有害物質の「六角クロム」が生成されます。
「六価クロム」は皮膚炎やガンの要因ともされておりご遺骨に直接触れることは、健康を害するリスクを伴います。
ご自身でご遺骨を別の入れ物に移し替える場合は、手袋や箸などを使い、直接素手で触ることの無いようにします。
手順
手順としては、火葬場での拾骨の順番通り行う場合は、足⇒腕⇒腰⇒背骨⇒肋骨⇒歯⇒頭蓋骨⇒喉仏の順にお骨壺へ収めますが、慣習に捕らわれないのであれば、上から順にご遺骨を移し替え、最後に残った細かなご遺骨は骨壺を持ち上げ、流し入れても構いません。
慣習や宗教上の決まりに拘らなければ、ご自身のやりやすい手順で行っても問題はありません。
適した保管場所は?
ご遺骨を庭に埋葬する行為は違法行為となりますが、自宅室内で保管するのであれば、法律上置く場所に特に決まりは無く、「押し入れ」「戸棚」「仏壇」「サイドテーブル」など、それぞれライフスタイルや供養方法に合った場所を選ぶ事が出来ます。
デザイン性の高い物であれば居間などにそのまま飾ることも出来ますが、白磁などの場合は貼箱や骨覆にいれたまま棚や仏壇に納めたり、押し入れに保管されている方もいらっしゃいます。
遺骨は本来カビは栄えいにくいとされてはいますが、カビの発生する三代要素が揃うと希にカビが生えてしまうことも有るので、高温多湿を避けた掃除の行き届いた場所を選ぶ事をお勧めします。
ご遺骨の室内保管、その後
お墓に関する法律には「墓地、埋葬等に関する法律」が有ります。
この法律の4条には「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」とあります。
そのため、室内保存しているご遺骨は、最終的に「墓地」への埋葬か、散骨することとなります。
埋葬を希望される場合
全骨の場合は「埋葬許可証」、分骨の場合は「分骨証明書」が必要となります。この許可書がなければ埋葬することは出来ません。火葬後渡された「埋葬許可証」や分骨の際に発行した「分骨証明書」は大切に保管する必要があります。
埋葬許可証
埋葬許可証は「死体埋葬・火葬許可証」「火(埋)葬許可証」など治自体によって微妙に名前が変わり、「火葬許可証」とのみ記載されているものもあります。
これらはどれも、死亡届けを提出すると渡される書類で、「火葬と埋葬を許可する」といった役割を果たします。
※「火葬許可証」は火葬後に火葬済みの印を押されたものが埋葬許可証として扱われたりします。
分骨証明書
「分骨証明書」は火葬場や埋葬しているお墓の管理会社やお寺で発行してもらう事が出来ます。
火葬場で分骨し証明書を発行してもらう場合
火葬場に直接、証明書の申請をします。火葬場によっては火葬後の申請は受け付けない所もあるので、火葬前に早めに申請することをお勧め致します。
分骨を複数希望される場合はその数分「分骨証明書」が必要となりますので、分骨証明書が何枚必要か火葬場に伝えます。
分骨は、拾骨の時に必要な分だけ取り分けます。分骨したご遺骨を入れるお骨壺は事前に自分で用意する必要があり、分骨する数分のお骨壺が必要となります。
火葬後、埋葬後に分骨を希望する場合
火葬後、若しくは既に埋葬しているご遺骨を分骨する際は、埋葬される墓所の管理会社やお寺に連絡を入れ、分骨を希望している事を伝え、段取りや費用などを確認し、分骨証明書の発行をお願いします。
墓地埋葬法の5条には以下の記載があります。
第5条 墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があったときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
これは、墓地を管理している管理会社やお寺には「分骨を証明する書類の発行」が法律で求められている事を意味します。
お寺によっては「分骨」の知識や経験が無いところもありますが、分骨証明書が必要であることを説明し、証明書を発行してもらえる様お願いしましょう
まとめ
今まで、ご遺骨は菩提寺へ埋葬することが一般的で江戸時代より慣習として行われてきましたが、近年、お墓の種類も増え、供養の仕方も現代人のライフスタイルに即した形に変化しています。
お墓に埋葬する前に自宅にて供養を望む方も増えていますが、ご遺骨を自宅で保管するための情報は不十分で、どのように扱うと良いのか迷われる方も多くいらっしゃいます。
日本の経済や人口動態等の問題により、これからも火葬、葬儀、埋葬、供養などは変化を見せていくものと考えています。
変化の時代、新しい情報を取り入れ、ご自身の死生観やライフスタイルに即した無理のないご供養が出来るように致しましょう。